人類史に残る数々の出来事を予言してきたフランスの学者、エマニュエル・トッド氏。最近では米トランプ政権誕生や英国のEU(欧州連合)離脱などを的中させた。同氏から見た2050年の中国とは。

歴史家・文化人類学者・人口学者 エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)1951年フランス生まれ。ソルボンヌ大学で歴史学を学んだ後、英ケンブリッジ大学で博士号取得。各国の家族制度や識字率、出生率、死亡率などに基づき現代政治や社会を分析し、ソ連崩壊やアラブの春、トランプ米大統領誕生、英国のEU離脱などを予言。『経済幻想』『帝国以後』『シャルリとは誰か?』『グローバリズム以後』など著書多数。(Abaca/アフロ)

[ Point ]

・中国の強い愛国心は世界にとってリスク

・中国のリベラル化、西洋化は期待薄

・人口減少で中国の強硬さは軟化も

──中国についてどのような予測をお持ちですか。

この点について、今の私にははっきりとした見解がないというのが正直なところだ。中国は不確実な国であり、熟考が必要な国だ。もし確実な点が1つあるとすれば、中国が世界を支配するのはありえないということだろう。しかし、その他の点、例えば中国が勢力として達成できるレベルや内部の危機の可能性については不透明な部分が多い。

中国は非常に特殊な研究対象である。最大の理由はその規模の大きさにあるといえる。グローバル化という文脈で見た時、中国の生産年齢人口が増加するということは、世界規模で安価な労働力が豊富であることを意味していた。だからその傾向が逆転すると、負の影響もまた世界規模に広がるのは間違いないだろう。

例えば日本の大企業は、国内の生産年齢人口の減少に対処するために生産の大部分を中国に移してきた。そのため、今後の中国の生産年齢人口の減少は日本にも影響を与えるだろう。ただしここでお話しするのは私の結論ではなく、あくまでこれから私が取り組もうとしている研究の出発点であるとお断りしておきたい。

一人っ子政策が影響し、中国では急速な少子化が進んでいる(Adam Dean/The New York Times)

──なぜ中国に関する分析は難しいのでしょうか。