偉い人ほどすぐ逃げる(武田砂鉄 著/文芸春秋/1760円/264ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] たけだ・さてつ 1982年生まれ。東京都出身。出版社勤務を経て、2014年からフリーライター。多くの連載を持つほか、ラジオパーソナリティーとしても活躍。『紋切型社会──言葉で固まる現代を解きほぐす』で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。著書多数。

『偉い人ほどすぐ逃げる』という、身も蓋もないタイトルだ。その「はじめに」には、日本の現状が次のように書かれている。

「いつも同じことが起きている。偉い人が、疑われているか、釈明しているか、逆にあなたたちはどうなんですかと反撃しているか、隠していたものが遂にバレたか、それはもう終わったことですからと開き直っているか、だ。/国家を揺るがす問題であっても、また別の問題が浮上してくれば、その前の問題がそのまま放置され、忘れ去られるようになった。」

この文章を読んで思い浮かぶのが、「本末転倒」という言葉だ。日本が劣化しているといわれて久しいが、今の日本が抱える問題のかなりの部分を、この言葉で言い表せるのではないだろうか。