心筋細胞が1000個凝集した心筋球。注射器のようなデバイスで投与する。右は福田恵一社長(提供:ハートシード)

「リ・マスキュラリゼーション」――。「再筋肉化」の意味を持つ、慶応大学医学部循環器内科の福田恵一教授の研究開発コンセプトだ。福田氏はiPS細胞による重症心不全の再生医療を開発するHeartseed(ハートシード)の社長でもある。同社については過去、『週刊東洋経済』2020年8月22日号「すごいベンチャー100 2020年版」でも取り上げた。

そのハートシードが6月、デンマークに本社を置く世界屈指の製薬大手・ノボノルディスク(以下、ノボ社)と、全世界を対象とする技術提携・ライセンス契約を締結した。ハートシードは一時金等の5500万ドル(約60億円)を含め、最大で総額5億9800万ドル(660億円)を受け取る見通しだ。

国内のバイオ再生医療関連ベンチャーでは、オンコリスバイオファーマが2019年4月、開発中の腫瘍溶解ウイルスで中外製薬(スイスの製薬大手・ロシュの傘下)と総額500億円超の契約を締結している。今回のハートシードのケースはこれを上回り、国内で過去最高水準の契約額となった。

世界の心不全患者は2600万人

ノボ社との契約により、ハートシードの開発エリアは国内から一気に全世界に広がる。ノボ社日本法人のオーレ・ムルスコウ・ベック社長は「世界の心不全患者は2600万人とされ、大きなアンメットメディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)がある。できるだけ早く両社で開発を進めたい」と積極的だ。

福田氏も「まず国内で期限条件付き承認を取得し、数年後には米欧などでの国際共同治験に進める」考えだ。