「『EVはすぐできる』というのは無理な話だ」 インタビュー/日産自動車専務執行役員 平井俊弘

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大赤字に陥っていた日産がいよいよ反転攻勢に打って出る。一度失墜したブランドは、電動化で復活できるのか。

10年前からEVを販売してきた日産は競争が過熱する中、先駆者の強みをどう生かすのか。写真は今冬に発売予定の「アリア」(編集部撮影)

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電気自動車(EV)と独自のハイブリッド車(HV)技術「e-POWER(eパワー)」を柱とした電動化戦略を描く、日産自動車。その指揮を執る、パワートレイン&EV技術開発本部担当の平井俊弘専務執行役員は「2030年までに、EVでガソリン車並みの利益を出すことを目指したい」と語る。
日産は他社に先駆けてEVの販売を手がけてきた自負がある。自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けて電動化へと突き進む中、どう競争力を高めるのか。平井専務に聞いた。

EV、やれるならやってごらん

――日産では、競合に先駆けて10年前から量産型EV「リーフ」を手がけてきました。

10年間やってみないとわからないことがある。「EVはすぐ(開発)できる」と言っている人たちがたくさんいるが、「やってごらん」という感じだ。

われわれは電池から絶対に事故を起こさないよう、慎重に、確実に進めてきた。これからはエネルギー密度(体積や重量当たりのエネルギー容量、発電効率を示す指標)をさらに上げていかないといけない。そうすると電池1つ1つのエネルギーが増えるわけで、安全性はより重要になる。

電池の劣化についても、モニターをしながら顧客がどういう使い方をすると劣化しやすいかといったデータをグローバルで集めてきた。これは劣化を抑えるための制御技術の部分でも大きな成果で、長持ちする電池の開発に役立つ大きなアセットだ。

だからこそ、何度も言うが「EVはすぐできる」というのは無理だと思う。

――一方でEVはガソリン車に比べて販売価格の高さがネックです。中でも電池のコスト低減が課題ですが、どう開発を進めていきますか。

日産として(EVで主流とされる)液体リチウムイオン電池はまだまだ進化させる。(高価な希少金属の)コバルトの使用をなくしていき、エネルギー密度を上げる。コストを下げながら、性能を上げる技術開発を続けていく。

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