「朝日新聞さえ読んでおけばいい」からは脱却 インタビュー【ジャーナリズム編】/朝日新聞社社長 中村史郎

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巨額赤字に揺れる朝日新聞社。日本のジャーナリズムの先駆者である同社は、いかにして経営を立て直すのか。また、メディアへの信頼が薄らぐいま、報道機関としての役割をどのように担っていくのか。

「メディア全体への風当たりが強い」と語る朝日新聞の中村史郎社長。読者からの信頼をどのように勝ち取るのか(編集部撮影)

「使命は経営の立て直し」と語る朝日新聞社の中村史郎社長。同社は2021年3月期に441億円の最終赤字を計上した。新聞各社は部数の落ち込みにより、経営の悪化が懸念されている。

それだけでなく、メディア業界はジャーナリズムの「信頼性」でも危機を迎えている。従来はメディア側が情報発信を独占していたが、SNSの普及により多様な意見が台頭し、メディアへの信頼性も薄らいでいる。

朝日新聞は2014年、当時の木村伊量社長の辞任にまで発展した吉田調書や従軍慰安婦の誤報問題で、信用が大きく失墜した。そこから信頼回復はできたのか。また、ジャーナリズムの世界で朝日新聞はどのような役割を担っていくのか聞いた。

>>経営について聞いた前編はこちら

「自前主義」はもう難しい

――朝日新聞はあくまでも報道機関であるという話がありました。一方で、今までそれを支えていた「新聞紙」が衰退している現状では、全国に点在している総局・支局や記者の数を維持することそのものが、困難になるのではないですか。

個別具体的には言いづらいが、大きな方向としては、ライバル(の新聞社)たちと競争して稼ぐ地域、稼げなくてもいいから最低限の機能を維持して他社と協調する地域といった形で選別していく。

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