オンキヨーは債務超過を脱せず、上場廃止が決まった(編集部撮影)

AV機器老舗のオンキヨーホームエンターテイメント(オンキヨー)が2021年8月1日に上場廃止となる。同社は2020年3月末に約34億円の債務超過に転落。2021年3月末も自己資本は約25億円のマイナスとなり、「1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき」という東京証券取引所の上場廃止基準に抵触した。

オンキヨー製スピーカーには根強いファンがいるせいか、上場廃止はそれなりのニュースとして扱われた。しかし、経営や財務の観点からみると今回の結末に意外感はない。

業績を振り返ると過去10期のうち8期で最終赤字。スマートフォンで手軽に音楽を楽しめる時代に高級なオーディオシステムの市場が縮小した。売り上げの減少に固定費削減が追いつかなかったのだ。過去10年間の最終損益を累計すると285億円の赤字となる。

2011年3月末の自己資本は約61億円しかなかった。2016年3月期第3四半期から企業の存続が危ぶまれる「継続企業の前提に関する注記」が決算資料に記されており、2018年12月末以降は取引先に対する営業債務の支払い遅延も生じていた。

ギリギリの綱渡りの状況が続く中、何とか上場を続けてこられたのは、株券を刷って投資家から資金を補ってきたからだ。

もっとも、オンキヨーが頼ったのは一般的な第三者割当増資や公募増資ではない。いわゆるMSCB(行使価格修正条項付き転換社債)やMSワラント(行使価格修正条項付き新株予約権)、さらにはMS新株発行など筋のよくないファイナンスの連発だった。

引き受け手に有利すぎる「悪魔の増資」