「車の価値が変わる。この1年が成長への正念場だ」 内田社長が明かす電動化への期待と課題

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大赤字に陥っていた日産がいよいよ反転攻勢に打って出る。一度失墜したブランドは、電動化で復活できるのか。

「電動車がガソリン車と同等の利益を上げるには、いくつかハードルを越えなければならない」と語った内田社長(撮影:尾形文繁)

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前2021年3月期に約4400億円の最終赤字を計上した日産自動車。経営再建を進める中、2期連続の巨額赤字から今期は営業益均衡圏まで回復を見込む。その先の成長の柱に据えるのが、電気自動車(EV)と日産独自のハイブリッド車(HV)技術である「eパワー」だ。
しかし電動化へと大きく舵を切るのは、他の自動車メーカーも同様だ。「EVのパイオニア」を自任する日産に勝算はあるのか。内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)に電動化戦略の方向性と課題を聞いた。

EVで儲けるには「課題がある」

――今後の成長に電動化は欠かせません。日産としてどう戦いますか。

各国がカーボンニュートラルに対して非常に大きく声を上げ始めている。それと顧客のニーズがどうマッチしていくのか。最終的に車を選ぶのはお客様だ。そうした状況を見極め、向こう10年の電動化戦略や技術ロードマップなどの枠組みを描く必要がある。

われわれはEVとeパワーという2つの柱で進める。2030年代の早い時期に(主要市場で投入する新型車を)100%電動化車両で提供する目標を掲げているが、各市場で受け入れ体制を整えるスピードは違う。これまではグローバルで同一の車種を展開していたのを、地域に合わせて新型車を投入する形に変わってくるだろう。

例えば、EVについては航続距離が非常に重要であったり、電池の容量は小さくてもよかったり、マーケットごとの顧客のさまざまなニーズに合わせた車種を投入するようになるのではないか。ただ、これは事業の収益性とのバランスを保つ必要がある。電池やプラットフォーム(車台)も含めて、(部品の)共用化もある程度進めなければならない。

――世界中の自動車メーカーがEVを中心とした戦略を続々と発表していますが、現状では収益性の面で、「EVでどう稼ぐか」が明確に見えてきません。

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