米国では新型コロナワクチン接種が着実に進み、徐々に経済活動が元に戻りつつある。バイデン大統領は、矢継ぎ早に追加経済対策を推し進めてそれを後押しし、3月11日には1兆9000億ドル規模の対策を成立させた。これには国民への現金給付や失業保険給付が含まれるが、とくに注目したいのが、子どものいる家庭に対する児童税額控除(Child Tax Credit, CTC)だ。

従来、17歳未満の子ども1人当たり年額2000ドルとされていたCTCを、6歳未満の子ども1人当たり最大3600ドル、1カ月当たり300ドルに増やした。6歳以上18歳未満の場合は、1人当たり最大3000ドル、月額250ドルだ。この控除は今年7月から毎月、控除の前払いという形で各家庭に給付されるため、実質的には給付型の「児童手当」に近い。また、「給付付き税額控除」であるため、納税額が控除額を下回る低所得層でも、控除額分満額の恩恵が受けられる。

CTC拡充の目的は、感染拡大によって大きな打撃を受けた低所得者の救済と貧困撲滅だ。よって、親の所得が高くなるにつれて控除額は低くなる。パンデミックによりさらに拡大した経済格差に歯止めをかけようとしているのだ。

CTC拡充を恒久化?

こうしたCTC拡充や児童手当の給付は、家計所得を引き上げ、子どものための消費を増やすだろうし、児童のウェルビーイング(幸福度)を向上させるだろう。バイデン政権はCTC拡充を恒久化しようとしている。しかし、毎月自動的に給付を受ける制度に、副作用はないのだろうか。

労働経済学では、児童手当の給付などによる所得増加時に、財やサービスのような「物の消費」だけでなく、「余暇時間」という「時間の消費」も増えること、言い換えれば、「働く時間」が減ることが知られている。これを「所得効果」と呼ぶ。