スイスのジュネーブで6月16日に行われた米ロ首脳会談について、モスクワから興味深い評価文書が6月末に届いた。情報源はクレムリン(ロシア大統領府)筋だ。インテリジェンスリポートの形式で紹介する。

〈1.今回の首脳会談に関しては、準備期間からさまざまな困難があったが、その開始から、なんら突破口が期待できないことは明らかだった。その基本的理念は、このような状況でも対話が可能であることを示すことであり、とくにプーチンにとっては国際的に注目を集める舞台に復帰するという大きな意義があった。

2.その結果、全体像は非常に平和的であったが、その舞台裏は様相が違った。

第1に、この会談は交渉ではなく、幅広いテーマについての意見交換会であり、なんら具体的合意を作ろうというものではなかった。唯一、会談で作られた結果は1つの短い共同声明だけで、その内容は世界の安定のため、そして核戦争回避のために協働が必要であることを確認するだけのものであり、言うなれば、ゴルバチョフ時代に確認されているよく知られた内容のものを文章に起こしたものにすぎなかった。

第2に、議題を決めていなかったことには、長所・短所の2つがあった。これでプーチンは世界安全保障と軍縮について言及することができたし、バイデンは人権問題、サイバー攻撃、ウクライナなどに言及することができた。その結果、それぞれの点について突っ込んだ議論はなく、お互いにレッドラインを示すことができた。