「(再編支援の)時限を意識して腹を決めて取り組んでほしい」。金融庁の氷見野良三長官は6月14日に都内で行った講演で、日本銀行や金融機能強化法で新設された再編措置に触れ、改めて地銀再編を促した。氷見野長官の発言通り、新たな再編の動きが出てきた。

7月2日、宮城県に本社を置く銀行持株会社フィデアホールディングス(HD)と岩手県の東北銀行は2022年10月をメドに経営統合すると発表した。フィデアHDは山形県の荘内銀行と秋田県の北都銀行を傘下に抱えており、この統合が実現すれば3行体制となる。

九州で地銀の再編が活発化する一方、高齢化や人口減少から資金需要の低下が見込まれる東北は、これまであまり動きがなかった。岩手県には岩手銀行、東北銀行、北日本銀行と地銀が3つもある。中でも貸出量で県内3番手の東北銀行は公的資金を抱えており、再編は必須と見られていた。

国の再編支援で活発化か

フィデアHDと東北銀行は2018年に包括業務提携し、共同店舗の開設やATMの相互利用などで連携してきた。今回、経営統合に踏み込んだことで、M&Aやビジネスマッチングの際に他県の企業を紹介できるほか、間接経費の削減ができる。さらに、2020年以降に導入された国の再編支援策の恩恵を受けられる可能性が高い。

大きいのは、日本銀行の特別付利(3年間の時限措置)だろう。一定以上の経費率を下げた地銀や経営統合した地銀を対象に、日銀に預ける当座預金に年0.1%の上乗せ金利がつく。さらに、2021年5月に成立した改正金融機能強化法によって、システム統合などの費用の一部(上限30億円)も支給される見通しだ。

こうした“アメ”によって、再編を考える銀行は増えそうだ。では、次の再編の焦点はどこか。ポイントは「1県3行」だ。それを考えるにあたり、地銀100社の提携関係やどの金融グループに属しているのかが一目でわかる「全国地銀マップ」(下図)を作成した。