NEO HUMAN ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る未来(ピーター・スコット-モーガン 著/藤田美菜子 訳/東洋経済新報社/1870円/476ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Peter Scott-Morgan 英インペリアル・カレッジで博士号取得(ロボット工学)。アーサー・D・リトルで企業変革マネジメントに従事。その後、独立。2007年、40代で商業的な仕事から引退。以後、世界中を旅する。17年、ALSと診断され余命2年の宣告を受ける。

余計なお世話かもしれないが、本書を読み終えて、あることが心配になった。このままではSFというジャンルが消滅してしまうのではないか、ということだ。

かつてはSF映画の脚本めいたことを思い付いたとしても、それをフィクションとして記述するに留(とど)まったはずだ。しかし今や、あらゆることが現実に実装できる世の中になりつつある。どんな突飛なアイデアも、実装されてしまえば、ノンフィクション。現実がフィクションを凌駕することもあるのだ。

本書は、愛のため科学の力で世の中のルールをぶっ壊した男の物語である。具体的には、難病と診断され余命を宣告されたロボット科学者が、制約から解き放たれるため自らの肉体を実験台にサイボーグとして生きることを決意し、その記録を綴(つづ)った一冊だ。