東京パラリンピック競技大会を目前に控え、障害者との共生社会への意識が高まっている。だが、直近のニュースに目を向けると、障害者差別解消法の改正によって民間事業者の合理的配慮が義務化された一方、車いす利用者が鉄道会社に「乗車拒否」される問題なども起こった。

なぜ障害者との共生社会を実現しなければいけないのか。この疑問に対する1つの答えは、「障害のない多数派が意識的にまたは無意識に障害のないことを前提につくった社会の仕組みやルールによって、障害者が不利益を被っているから」である。非障害者中心の社会の恩恵を受け、そういった社会のあり方に異議を唱えてこなかった点で、障害のない人は加害者側に立っているとも考えられる。

このように考えると、障害者を困らせている原因は障害者自身にではなく、社会の中にある。目が見えなくても、耳が聞こえなくても、車いすを利用していても、不自由なく生活できる社会であれば、何の問題もない。障害者は心身の機能障害だけでなく、社会の中の物理的・制度的な障壁、文化・情報面や心理面の障壁にも直面している。こうした捉え方は「障害の社会モデル」と呼ばれ、障害者権利条約や国内の障害者基本法、障害者差別解消法の根幹となっている。

この考え方を普及させることで、障害者へのよりよい対応を促せるのではないか。筆者は国際協力機構(JICA)の障害に関するプロジェクトの関係者の協力を得て、南アフリカでフィールド実験を行った。本稿ではその内容と検証結果を紹介する。