(Syda Productions / PIXTA)

「2番と4番は否決、これで総会を終わります」

6月25日午後0時42分。東芝の株主総会は、綱川智社長がそう宣言し、あっさりと閉会した。事前の議決権行使で結果がある程度見えていたのか、挙手を求めはしたが、しっかりと票を数えた様子ではなかった。

「2番と4番って誰だっけ」。東京・高田馬場の会場に居合わせた183人の株主は互いに顔を見合わせた。招集通知書を改めて開くと、そこには「2番永山治、4番小林伸行」とあった。「取締役会議長と監査委員が否決されたぞ。東芝はいったいどうなるんだ」。会場に激震が走った瞬間だった。

だがそれでは終わらず、余震は続く。その日の夜、社外取締役に選ばれたばかりのジョージ・オルコット氏が辞任したからだ。

併せて、本来、社外取締役が就くはずの取締役会議長を、綱川社長が例外的に兼任することも発表された。東芝は「あくまでも暫定的であり、今後、綱川氏の後任選びを進める」としたが、会社提案の社外取締役2人が否決された影響の大きさを物語っていた。

週が明けた28日の午後になっても揺れは収まらなかった。永山氏の再任に対する賛成は43%、小林氏はたった25%だったと明らかになったからだ。これは海外の機関投資家のみならず、国内の個人投資家の多くも小林氏にノーを突きつけたことを意味した。

なぜこんなことになったのか。それを知るには時計の針を1年前に巻き戻す必要がある。

社外取が妨害に加担

2020年6月。当時の車谷暢昭会長は“瀕死”の状態にあった。エフィッシモ・キャピタル・マネジメントなどアクティビストの激しい攻勢を受けていたからだ。