もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

グローバルな金融市場は、この数カ月間、米国のインフレ動向に目を凝らしてきた。6月も物価データへの関心は高く、実際、消費者物価指数の実績は事前予想を上回る前年比プラス5%に達していた。それを受けた6月15〜16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)にも注目が集まったが、3カ月に一度の各メンバー見通しでは、2023年末時点で2回の利上げが予想された。3月時点では利上げは1回の予想だった。

しかし、通常、金利上昇の材料と解釈されうるこれらのイベントを消化したうえで、米国の長期金利は逆に低下し、5月末に約1.6%だった米国債10年物金利は6月下旬には一時1.3%台をつけた。

それ以上に目立ったのは、30年債金利の動きである。利上げ開始の前倒しを織り込み、米国の中短期債金利は上昇し、FOMCを挟む1週間で5年債金利が0.14%ポイント上昇した。だが、30年債金利は逆に0.13%ポイントも低下した。これがどれほど異例の事態かというと、5年債金利の0.1%ポイント超の上昇と30年債金利の0.1%ポイント超の低下が1週間で同時に生じたのは、過去30年間でわずか4回だけである。