「勝ちに不思議の勝ちなし」 エーザイCEOが語る「認知症薬」の起死回生

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アメリカの食品医薬品局は6月7日、アルツハイマー型認知症治療薬の製造販売を承認した。エーザイの内藤晴CEOに今回の承認について聞いた。

エーザイの内藤晴夫CEOは「今回の承認までには2回、絶対的な危機があった」と振り返った(撮影:今井康一)

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6月7日にアメリカの食品医薬品局が承認した「アデュヘルム」は、世界で初めてアルツハイマー病の原因に直接作用する薬である一方、その承認をめぐっては物議を醸している。

創業家出身でエーザイを30年以上率いる内藤晴夫CEOに、今回の承認について直撃。内藤CEOは「勝ち(承認)の要因がしっかりあった」と述べた。

──ついにアルツハイマー新薬が承認されました。

「アリセプト」でアルツハイマー病の薬物治療の歴史の1ページ目を開いたのはわれわれだと自負している。それから25年もかかってしまったが、ようやくその2ページ目を開くことができた。

アリセプト発売前から、認知症患者のコミュニティーと長く付き合ってきた。今回の承認によって、そういった方々に対し約束してきた責任の一端を果たせる。

──アデュヘルムは、承認までにかなりの紆余曲折がありました。

今回の承認までには2回、絶対的な危機があった。1回目は、臨床試験(治験)フェーズ3で第三者委員会から中止勧告を受けたとき。もう1回は、FDA(米食品医薬品局)の諮問委員会において承認エビデンスがない、と圧倒的な差で判断されたときだ。

そうした危機を乗り越えて今回承認に至った。普通だったらありえないことだが、有名な格言とは逆に「勝ちに不思議の勝ちなし」だった。

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