貧困は現在の日本においても深刻な問題だ。最後のセーフティーネットの役割を担っているのが生活保護制度。貧困状態に陥った家計の事後的な救済がその目的だが、実はこの制度がうまく機能していない可能性がある。

2012年1月、札幌市白石区で40代の姉妹が病死・凍死した。彼女らの住居の電気とガスは停止され、食料もなかったという。貧困状態にありながら、この姉妹は生活保護を受給していなかった。

これまでの経済学研究では、生活保護が労働供給のインセンティブを歪ませること、また不正受給の可能性が指摘されてきた。しかし現実には、「漏給」の問題が深刻化している。漏給とは、ある家計が生活保護受給資格を有する貧困状態であるにもかかわらず、受給していないケースを指す。

日本と世界の漏給の差

生活保護が貧困をどの程度解決できているかの指標としては、捕捉率がある。捕捉率は、受給世帯数を貧困世帯数で割って算出する。欧米先進国(米国、英国、ドイツ)では40~80%、これに対して日本では10~20%と低いことが知られている。日本の漏給は他国と比較しても深刻なのだ。

それでは、なぜ漏給が生じるのか。その主要な原因として、①厳格な資力調査、②手続きや制度理解のコスト(労力)の高さ、③生活保護受給にスティグマ(烙印)が伴うことが考えられる。