たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

ブレント原油が鬼門の1バレル当たり71ドルを超えて騰勢を強めている。71ドルは過去何度も試して超えられなかった壁である。新型コロナワクチンが普及して石油需要が戻ってもOPECプラス(石油輸出国機構加盟国とロシアなど)以外の産油国が増産しないのが一因だ。

シェール革命で世界3大産油国の1つに躍り出た米国は、以前は油価が上がれば機敏に増産して相場上昇を抑えてきたが、今回は違うようだ。シェール企業は油価上昇で得た利益を掘削活動よりも株主還元に回している。昨年7月以降、米国の産油量は横ばいだ。

シェールを目の敵にしてきたサウジアラビアのエネルギー相は「米国の掘れ掘れドンドンの時代は終わった」と喜ぶ。世界の石油供給は2大産油国のサウジとロシアがリードするOPECプラスの支配する寡占化の時代へと移行しつつある。5月26日にはその流れを助長する事件が奇遇にも2件同時に起きている。