硬軟両面の姿勢を取るジョンソン英首相(代表撮影/ロイター/アフロ)

最新鋭空母「クイーン・エリザベス」のアジア派遣などを受け、英国が中国への強硬姿勢に転じたとの見方が広がっている。確かに英国はかつての対中融和姿勢をリセットした。

だがその内実は、経済分野を含む安全保障と一般的な経済活動とを分けて国益を追求するという、戦略的枠組みの明確化にとどまるものだ。英国は安全保障と経済の二兎を追おうとしているのである。

英中関係のいわゆる「黄金時代」は、キャメロン保守党政権時代の2015年10月の習近平国家主席の訪英に始まるものだ。このとき、中国国営企業の英国での原発建設参入を含む総額400億ポンド(約6兆4000億円)の商談が結ばれている。

英国は「中国の西側最大のパートナー」となることでチャイナマネーの獲得を目指し、中国には英国の「開かれた経済」を突破口に重要インフラでも国外市場参入拡大を目指す思惑があった。

この蜜月関係は、英国が中国の人権問題や膨張主義への批判を封印した成果だった。習氏の訪英前、オズボーン英財務相(当時)が西側閣僚としては異例の、新疆ウイグル自治区訪問を行ったが、人権問題には口をつぐんだ。

そして英国が20年1月に欧州連合(EU)を離脱したことで、中国は一層重要性を帯びることになる。世界で繁栄する「グローバルブリテン」というジョンソン首相の野心にとって、対EU貿易の穴埋め先として中国の巨大市場は欠かせないからである。