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「外国の影響」にどう向き合う 米大学で浸透する自主管理

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研究の自由を守りつつ、外国からの影響をどうコントロールするか。米国の大学でも模索が続く。

中国との関係で事件の舞台となった米ハーバード大学

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米国の著名な研究者が、中国との関係を開示しなかったとして逮捕・訴追されるケースが相次いでいる。

米司法省は2020年1月、ハーバード大学の化学・化学生物学部長を務めるチャールズ・リーバー教授を訴追した。中国の研究プロジェクトとの関係を隠し、虚偽の申告をしていた罪に問われている。中国政府が外国の研究者を招致する「千人計画」に参加し、武漢理工大学から月給5万ドルを受領していた嫌疑である。

有力教授であったリーバー博士の事件は驚きをもって報じられたが、さらにこの訴追の発表と同じ日、2人の逮捕が発表されている。1人は中国人民解放軍に所属していることを隠してボストン大学に在籍し、ロボット開発に従事していた研究者、もう1人はボストンのローガン国際空港で生体サンプル21個を中国に持ち出そうとして逮捕された、がんの研究者である。

こうした事件が米国で相次いで起きている背景については、トランプ政権以降の中国に対する米国政府の制裁と関係しているという印象を持つかもしれない。しかし米国の学術研究において、「外国の影響」が先端技術の流出につながっているとする見方は、トランプ政権で突然生じたものではない。10年以降、先端情報の流出を疑わせる事件が相次いだことから、その懸念が徐々に高まってきたというのが実情に近い。

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