安倍晋三前首相の任期中、国家安全保障局(NSS)のナンバー2として安全保障戦略の中核を担ってきた兼原信克氏。国家安全保障のための最先端技術を生み出すには、学術関係者や民間企業を巻き込んだ仕組みづくりが欠かせないと説く。

かねはら・のぶかつ 1981年東京大学法学部卒業、外務省に入省。外務省国際法局長を経て2012年に内閣官房副長官補に就任。14年から新設の国家安全保障局次長を兼務。19年退官。

──民生分野の技術的ブレークスルーが、安全保障環境を大きく変えていると指摘しています。

米商務省が14分野の新興技術を挙げているが、人工知能(AI)と半導体はとりわけ重要だ。半導体は、最先端の超微細化技術を有する受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の存在が、地政学リスクを左右するまでになっている。米国はTSMCに対し、「セキュリティーリスクのある中国との取引をやめて、アリゾナに工場を持ってきてほしい」というメッセージを発してきた。

台湾有事を想定し、安定して半導体の供給量を確保したい狙いもあるだろう。TSMCは米国を選んだ。日本も、TSMCの半導体製造の後過程を国内に誘致しようとしている。