肥満と聞けば、多くの人は望ましくないものと考えるだろう。肥満は糖尿病や脂質異常症、高血圧、がんなどの疾病リスクを高めると知られている。そして当然、それらの疾病は死亡リスクを高める。また、健康面だけではなく、「肥満でないほうがよい」といった価値観から肥満を避けたいと思っている人も多いだろう。

それにもかかわらず、現実には肥満人口は増加し続けている。世界保健機関(WHO)によると、2016年の肥満人口は1975年の約3倍だという。そして、16年には18歳以上の成人の39%に相当する19億人がBMI(体格指数)25以上の太り気味、13%に相当する6.5億人がBMI30以上の肥満であると報告されている。なお、BMIとは体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で除算した値だ。

肥満人口が少ないと思われている日本でさえ、国民健康・栄養調査などから同様の傾向、とくに男性に強い増加傾向が見られる。BMI25以上(太り気味)の人口比率は、80年に男性が17.8%、女性は20.7%だったが、00年にはそれぞれ26.8%と21.3%、17年には30.7%と21.9%となっている。男性の太り気味の割合は大きく増加、女性の割合は微増しているのである(平均年齢の上昇を加味する必要はあるが、本稿では割愛する)。

実は、この太り気味も含めた肥満の増加が、気候変動にも悪い影響を与えていると指摘され始めている。つまり、肥満人口の増加によって、温室効果ガス排出量が増えてしまうということだ。