柿木社長は「流れに任せてゆでガエル状態になるのはやめよう」と社内で繰り返しているという。(撮影:梅谷秀司)
2019年度は海外事業投資の減損から過去最大の赤字となった。だが、丸紅はコロナ禍でも2020年度は堅調な業績をあげた。
海外出張ができない中、国内を丹念に見回ったことで柿木社長は自信を深めたという。次世代事業投資に話が及ぶと“社長発言”の弊害を挙げ、「社長は影の薄い人がいちばんいい」と述べた。

 

――2021年3月期は純利益ベースで商社業界で3位につけました。

2020年のいまごろは、コロナ禍でこのまま坂を転げ落ちるのか、2年連続で信頼を裏切ったら投資家の「丸紅離れ」が進むと、緊張感を持ちながら予算を作った。いちばん時間をかけた予算づくりだったと思う。

とにかく衛生管理を徹底して、工場を止めない。そういう基本的なことを大切にしたことでうまくいったビジネスがいくつもある。例えば、私も訪れたことがあるアメリカのクリークストーン社(牛肉の処理加工事業)は、工場なのかというぐらい密な作業現場だ。

だが、感染防止策を講じたことで操業を継続することができた。気がつけば、業績もきれいなV字回復を果たすことができた。各現場で頑張ったグループ社員には感謝の気持ちでいっぱいだ。

――足元の鉄鉱石の高騰などを踏まえると、2022年3月期の純利益2300億円(前期実績は2253億円)という計画は保守的では?