中世ヨーロッパ ファクトとフィクション(ウィンストン・ブラック 著/大貫俊夫 監訳/内川勇太ほか 訳/平凡社/3520円/380ページ)
[Profile] Winston Black 中世史研究者。中世科学史・医学史が専門で、ヨーロッパと地中海世界の活発な交渉によって発展した中世の薬学と薬草学(本草学)を研究している。著書にMedicine and Healing in the Premodern Westなどがある。

「中世ヨーロッパ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。「疫病と飢饉」、「魔女狩り」、「異端審問」……。代表的なものを挙げたが、いずれにせよ、西ローマ帝国が滅んだ5世紀末からの約1000年間に明るく進歩的な印象を抱く人は少ないだろう。

だが著者は、そうしたネガティブなイメージはここ200年ほどの間に私たちに植え付けられた誤解だと説く。本書には、中世に関する11の「フィクション」が登場する。多くの人は、どれも一度は耳にしたことがあるはずだ。

中世の人々は地球が平らだと思っていた。風呂にも入らず、暮らしは不潔で腐った肉も平気で食べた。教会は科学を敵視し、今では誰も疑うことのない説も教会の権威によって迫害され続けた。何の罪もない女性たちが何万人も魔女として火あぶりにされた。