きうち・たかひで 1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

仮想通貨(暗号資産)のビットコインの相場が、足元で乱高下を繰り返している。5月19日には一時、前日比30%もの急落を見せた。

急落の要因は、中国の規制当局が、国内金融機関に対して「仮想通貨向けにサービスを提供することを禁じる」と通告したことだ。また、EV(電気自動車)メーカーである米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が、今年2月に表明した「ビットコインをEVの購入代金として受け入れる」との方針を、撤回したこともある。

しかしこれらは相場下落のきっかけにすぎない。ビットコイン相場のボラティリティー(変動率)の高さの底流にあるのは、そもそもビットコインの価値が不明確であることだ。ビットコインを支える分散型元帳技術のブロックチェーンは利用価値が高いものだが、ビットコインだけではそうとはいえない。価値が明確でない資産は、いわゆる価格発見機能が低く、何らかのショックで価格のボラティリティーがひとたび高まると、それを収束させるメカニズムは働きにくいのである。