慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)など性的少数者に対する理解増進法案は、本稿執筆時点で、今国会での成立が見通せない。法案に「差別は許されない」と盛り込まれたことへの懸念が一部に出たためだが、性的少数者がより生きやすいように社会を変えていくことの必要性に変わりはないだろう。

性的少数者は人口の約9%、11人中1人と決して小さい割合ではない。しかし、職場でカミングアウト(自分が性的少数者であることを明かすこと)している割合は約8%(正社員の場合)にすぎず、正確な比較は難しいが、例えば米国での約5割という報告からすればかなり低い。そのため、職場で悩みを相談することができず、性的少数者のメンタルヘルスの悪化がもたらされている。