異色の元経産官僚が説くDX時代のリーダー論 東京大学客員教授 西山圭太氏に聞く

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にしやま・けいた 1985年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。産業革新機構専務執行役員、東京電力HD取締役・執行役などを歴任。商務情報政策局長を最後に2020年退官。現在東大未来ビジョン研究センター客員教授、経営共創基盤シニア・エグゼクティブ・フェロー。(撮影:今井康一)
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産業再生機構、産業革新機構など官製ファンドの立ち上げを主導。原発事故後の東電再生では取締役・執行役を務めるなど数多くの問題企業を見てきた。その経験から、革新できない組織とそのリーダーには共通の欠陥があると看破。DX(デジタルトランスフォーメーション)を契機として、新しい組織のあり方、リーダー像を確立するべきだと説く。

──タイトルに「DX」とありますが、主題はリーダーに求められる思考法です。

2+2の答えは4、といった具合に、問いと答えを示すノウハウ本にしたくなかった。なぜならばDX時代のリーダーは、問い自体を考えなければいけない。アインシュタインは「地球滅亡までにあと1時間しかないという切迫した状況で地球防衛軍の責任者だったらどうしますか」との問いに次のように答えたといわれている。「55分はその課題がどのようなものなのかについて考え、残りの5分で解決策を考える」と。

──課題を設定できないリーダーが多い?

私は経済産業省や東電などで若い人たちに対し、自分で課題を考えるように言ってきた。上司から課題を与えられて、それを解く人が出世するのが日本の組織のロジック。さはさりながら、それだけやって満足したらダメだよ、と。

与えられた課題を完璧に解く、という作業をやり続けるから、残業が終わらない。明日になったら環境は変わるので、2+2の答えを作った後、休む間もなく2+3を解かなきゃいけない。そして次の日には2+4という課題が与えられる。これをエンドレスでやり続けるから、過労死が相次いでしまう。

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