のせ・ひろゆき 1963年生まれ、福岡県出身。86年九州大学経済学部卒業後、サッポロビール入社。ブランド戦略の経験が豊富で「ドラフトワン」などヒット商品の開発に携わる。2020年からマーケティング本部長。(撮影:尾形文繁)
新型コロナ禍で飲食店向けビールは打撃を受けた。その中でも健闘したのは、ビールの主力ブランド「黒ラベル」「ヱビス」を持つサッポロビールだ。3月に就任した野瀬裕之新社長(サッポロホールディングス常務グループ執行役員)に、マーケティング経験をどう生かし、成長につなげるのか聞いた。

市場縮小にあらがう「黒ラベル」缶の販売数量

ビール総需要が減少する中においても、20〜30代をターゲットとしたマーケティングが奏功。快進撃を続けている。

──在任中に取り組むべき課題は。

われわれは競合ビール会社と違い、2020年から北米事業を連結子会社化し、国内外で酒類事業を展開している。海外でもどう商品展開するかを考える企業として歩んでいくことが大前提にある。

その中での原点は、祖業であり、歴史のあるビールにあり、何とか成長させたい。黒ラベルとヱビスが顧客にとってさらに価値あるものになり、成長を遂げていくことが、国内外において何よりも意味を持つ。経営の一丁目一番地はそこだ。確かに業務用がコロナ禍で傷み、市場自体も縮小しているが、26年までに酒税改正で2度ビール減税がある。大きな可能性とチャンスがある。

もう1つは、酒類に対する向き合い方がコロナ禍で一変した中、消費者の酒との関わり方にイノベーションを起こすこと。例えば新ジャンル(低価格なビール風飲料)は発売当初、ビールより低価格で手軽に楽しめるものとして、顧客の生活を変えた。最近では、今まで手間のかかっていたものが気軽に楽しめるレモンサワーのもとや、ノンアルコールビールが生活を変えていっている。顧客の期待はまだまだ見えていないものがあり、顧客自身が気づいていない需要を探し出すことが今の仕事だ。