黒船「OYO」手痛い挫折が残した教訓 不動産賃貸参入2年で断念

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デジタル化に対する高い理想だけでは、業界を動かせなかった。

参入後約2年で不動産賃貸事業を断念したOYOジャパン。勝瀬博則CEO(当時)も昨年初めにひっそり退任した

さまよう不動産業界の「黒船」は、船長を交代して再出航した。

宿泊・不動産賃貸事業のOYOジャパンは4月、同社の不動産賃貸事業を上場不動産会社の霞ヶ関キャピタルなどに承継させると発表した。6月1日から効力が発生する予定だ。

霞ヶ関キャピタルが7割を出資する子会社・KCテクノロジーズ(以下、KC社)が受け皿となり、OYOジャパンの不動産賃貸事業を取得する。事業の取得価格は非公表だが、OYOは実質的な対価として、KC社の株式持ち分を一部受け取る予定のようだ。

インド発のホテル運営会社・OYOが日本で不動産賃貸事業を始めたのは2019年3月。業界をのみ込まんとする急拡大の姿勢から黒船とも目された。

「日本の賃貸住宅市場では合理的な商品やシステムが成熟していない」。19年3月、現OYOジャパンの勝瀬博則CEO(当時)は東洋経済の取材で、参入の狙いをそう語っていた。

当時8カ国でホテル事業を展開していたOYOは、ホテル特有の簡便な契約手続きと明朗会計を日本の賃貸住宅の商品性や入居手続きに応用できないかと考えた。仲介店舗に出向いて書面で契約を交わす手続きや、敷金・礼金・仲介手数料といった家賃以外のさまざまな支払いなど、賃貸住宅の商慣習は入居者にとって非常に煩わしいためだ。

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