衆院選と総裁選を前に安倍氏(右から2人目)ら改憲勢力との連携を強める菅首相(時事)

菅義偉首相が登場して8カ月余が過ぎた。歴代の首相と違って、就任時、自民党総裁の残任期1年、衆議院議員の残任期も1年1カ月、新型コロナウイルスは未収束、夏季東京五輪も開催が不透明という4つの束縛を背負って船出した。壁は今も高く、政権は綱渡りの連続である。

菅首相は任期満了が4カ月後と迫っても、「総裁選出馬」を明言できない。衆議院の解散・総選挙も見通しが立たない。コロナは変異株による第4波で、3度目の緊急事態宣言が9都道府県で5月末まで実施中だ。五輪は決定権限を握る国際オリンピック委員会(IOC)が「開催」を決定済みだが、中止を求める声は大きい。

5月17日発表の朝日新聞と共同通信の世論調査で、五輪開催は、朝日が「中止」43%、「再延期」40%、共同が「中止」59.7%、「開催」は朝日が14%、共同が37.8%だった。民意の「五輪離れ」は根強い。IOCの最終決定にもかかわらず、五輪開催は未確定と受け止めている国民は多い。

菅氏は昨年6月にインタビューしたとき、コロナについて、「大きな波の発生を防ぎ、その間にワクチンや治療薬ができてくれば、そこで終わりでしょう。五輪も、開催時期が近づくと、空気が変わりますよ。予定どおり開催できるでしょう」と希望的観測を口にした。だが、大きな第4波は防止できず、ワクチン接種も大幅遅れで、政府批判が高まった。内閣支持率は5月14日発表の時事通信の調査で32.2%に下落した。政権早期崩壊説が飛び交う状況だ。

政権運営はコロナ次第という苦境だが、憲法記念日の5月3日、菅首相は自民党総裁として改憲派の集会にビデオメッセージを寄せた。コロナ危機を踏まえ、「緊急事態への備えに対する関心が高まっている」と説き、憲法への緊急事態条項の新設について、「極めて重く大切な課題だ」と訴えた。