ネットでニュースを読む場合のポータル(玄関口)として、日本国内におけるヤフーニュースの存在感は圧倒的だ(撮影:尾形文繁)

「プラットフォーム事業者としてめちゃくちゃではないか」

日本最大級のニュース配信プラットフォーム「Yahoo!ニュース」が揺れている。冒頭のコメントは投資家、作家、ブロガーとして著名な山本一郎氏が東洋経済のインタビューに語ったものだ。同氏がヤフーの運営する「Yahoo!ニュース個人」において執筆・配信してきた全記事をヤフー側が削除したことで、両者間のトラブルに発展した(山本氏のインタビューはこちら)。

山本氏は2020年2月にヤフーとのオーサー(著者)契約を終了していたが、既存記事については契約終了後もサイト上に残す約束だったと主張。今年1月に削除の事前通知をメールで受け、納得できない旨をヤフー側に伝えたが、約1カ月後の3月には全記事削除が実行された。

一方、ヤフーニュース側は「システム刷新の関係で記事掲載を終了した。(掲載終了の)30日前にはその旨を伝えて、データも渡した。プラットフォームとして必要な手続きはきちんと実行した」と説明。両者の主張は平行線をたどっている(ヤフーニュース担当者のインタビューはこちら)。

一連のやりとりについて山本氏が自身のブログで公表したため、「ヤフーが約束を破ったのか」とにわかに注目を集めた。ただ、メディア業界内にはそれ以前から、ヤフーニュースに対する不信感が渦巻いていた。

「(実際にヤフーが約束を破っていたとしても)あまり驚かない」。あるネットメディア関係者は山本氏とヤフーとの一件についてそう話す。「ヤフーニュースについては、トピックスやおすすめ欄への掲載基準、(媒体社ごとに差がある)PV(ページビュー=閲読数)単価の決め方など、ブラックボックスになっている部分が多い印象。配信先として今後も頼っていいのか、迷いもある」(同)。

プラットフォームとしての「中立性」や「公共性」を重視してきたはずの同サービスに、いったいどんな変化が起きているのか。

「玄関口」としての圧倒的な存在感

ネットでニュースを読む場合のポータル(玄関口)として、日本国内におけるヤフーニュースの存在感は圧倒的だ。2020年4月、ヤフーニュースは過去最高となる月間225億PVを記録している。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要も後押しとなった結果だ。

同時期、雑誌メディアとして最多だったのは「文春オンライン」の月間約3億PV(4~6月平均)。同時期比較ではないが、デジタルに積極的な「日経電子版」が月間2.8億PV(公表値)、「朝日新聞デジタル」が月間2億PV(同)であることを踏まえると、ヤフーニュースがどれだけ巨大かがわかる。