山本一郎(やまもと・いちろう) 個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も(記者撮影)
さまざまなジャンルの専門家や文筆家が、自身の取材や見解に基づいた記事を投稿する「Yahoo!ニュース個人」。このコーナーで長くオーサー(著者)を務めてきた山本一郎氏とヤフーとの間で、配信記事の「全件削除」をめぐってトラブルが起きた。2020年2月にオーサー契約を終了した山本氏の過去記事を、ヤフー側が今年3月、「システム刷新」を理由に削除。これに山本氏が反発している。
両者の主張は食い違ったままで、山本氏は削除という対応に「納得していない」と話す。今回の一連のやり取りやこれまでのオーサー活動を通じ、ヤフーニュースにどんな課題を感じるのか。山本氏を直撃した。

 

――「Yahoo!ニュース個人」における山本さんの記事削除について、改めて経緯を教えてください。

削除されるにあたっては、ヤフー側からは今年1月末、その旨を事前に通知するメールが一方的に送られてきただけだ。削除されてしまったらどこにも復旧できなくなってしまうので、私からはひとまず「納得はしないけれど、データはください」と返信した。

それでデータ自体は送ってもらったが、その後に面談等で話し合いができると思っていたらそういったこともなく、もういきなり削除されてしまった。

執筆の契約自体が解除になったのは2020年2月のこと。そのときヤフー側には「契約解除後も記事は消さない」ことを了承してもらっていた。これはメールにも残っている。個人の書き手にとって記事は自分の資産そのもので、削除されてしまえば今後仕事をしていくうえでの死活問題になりかねない。

自分の場合は執筆記事の内容をめぐる訴訟も複数抱えていた。その多くは「記事削除を求める裁判」だ。私としてはそれに応訴しているのに、その前提が突如変わってしまい、非常に困惑している。

新聞社や個人から集めたニュースコンテンツについて、ヤフー側が自由に掲載したり、外したりできるのがヤフーニュースのやり方であることは認識していた。ただ、いざ自身がそれに直面すると、プラットフォーマーの優越性を強く感じた。

(削除は)彼らの事情に依拠しているものなので、私からは「恣意性が高いのでは」と意見したが、結局折り合いがつかなかった。

記事の「質」をどう判断しているか疑問

――最も問題だと思った点は?