JALにのしかかる巨額増資の重荷 大赤字でも中計は強気

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カギを握るLCC戦略も、「劣等生」の寄せ集めで茨の道となりそうだ。

出張需要を多く取り込んできたJAL。コロナ後を見据え今後はより低単価なLCCを強化する構えだが、課題は多い

巨額増資で毀損した株主価値を取り戻せるか──。

日本航空(JAL)は5月7日、2021年3月期決算を発表。売上高が4812億円(前期比65.2%減)、EBIT(利払い前・税引き前損益)は3983億円の赤字(前期は888億円の黒字)に転落した。

旅客数への新型コロナウイルスの影響が深刻で、国際線が前期比96.0%減、国内線も同66.5%減と凄惨な結果だった。最終損益も、12年の再上場以来初めて赤字に沈んだ。

決算以上に注目を集めた22年3月期の業績予想は、新型コロナの収束が見えず、合理的な見積もりが困難として開示しなかった。

競合のANAホールディングスは前月、22年3月期について黒字予想を発表。今年7〜9月には国内線の旅客数がコロナ前と比べ15%減まで急回復する前提だ。が、JALの菊山英樹専務はこうした国内線の戻りについて「なかなかそういう想定は難しい」と言及。今期でのJALの黒字化は至難の業となりそうだ。

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