俺の上には空がある広い空が(桜井昌司 著/マガジンハウス/1540円/160ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] さくらい・しょうじ 1947年栃木県生まれ。高校中退後いくつかの職を転々とする。67年、強盗殺人事件の容疑者として逮捕され、78年に無期懲役確定。29年間を獄中で過ごし、96年仮釈放。事件から43年7カ月を経て2011年にようやく無実が認められる。

「苦しみに耐えた人が/もし強くなれるのならば/私の強さは無類だろう」。これは「強さと優しさに」と題された詩の冒頭である。自らの強さを「無類」と言い切れる人はそうはいない。だが長い期間、冤罪(えんざい)と戦い続けた作者の半生を知れば、この言葉に誰もがうなずくだろう。

20歳で逮捕され、29年間を獄中で過ごし、再審請求裁判で事件から43年7カ月後にようやく無罪を勝ち取った。ところがその後、がんが見つかる。ステージ4で複数箇所に転移していた。医師に告げられた余命は1年だった。

本書は余命宣告を受けた74歳の著者が今伝えておきたいことを綴(つづ)った1冊である。これが不思議な明るさに満ちているのだ。