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『日銀ETF問題 《最大株主化》の実態とその出口戦略』 『復活!日英同盟 インド太平洋時代の幕開け』ほか

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株価維持策の歴史踏まえ問題点指摘し、出口探る
評者/BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

『日銀ETF問題 《最大株主化》の実態とその出口戦略』平山賢一 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] ひらやま・けんいち 1989年横浜市立大学商学部卒業、大和証券投資信託委託入社。現在、東京海上アセットマネジメントで執行役員運用本部長。30年超にわたり内外株式や債券等の投資戦略を策定・運用。著書に『金利史観』『戦前・戦時期の金融市場』など。

3月の日銀の「金融政策の点検」における最優先事項は、東証株価指数などに連動する上場投資信託(ETF)の購入見直しだった。日銀はETFを通じ、年6兆円も株式を買い上げ、残高は40兆円に及ぶ。東証1部時価総額の約7%を占め、今や日本企業の最大株主だ。指数構成銘柄なら業績にかかわらず買われ、株価や企業統治への悪影響が懸念されていた。

今回、日銀は株価上昇局面では購入しない、という方針に転換したが、マクロ経済ショックが生じた際には機動的に購入するとしている。資産運用に長年携わり、金融史にも通じる実務家が、日銀のETF購入の問題点と出口を歴史的視点から探った。

主要中央銀行で株式を購入するのは、日銀だけだ。国債ならいずれ償還が訪れるが、株式は売却しなければバランスシートから外せない。保有残高が膨らむほど、株式市場への影響が大きくなるため、売却は困難になる。現在は含み益を抱えるが、下落が続けば経常収益を上回る含み損が発生する恐れさえある。

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