社長CEOへの就任会見に臨む綱川智氏(右)と取締役会議長の永山治氏(写真:東芝)

4月14日、東京・芝浦の東芝本社から中継されたオンライン会見。会場には会長の綱川智氏と、社外取締役で取締役会議長の永山治氏が並んだ。2018年から3年にわたって経営の舵取りを続けてきた車谷暢昭社長CEOの辞任と綱川氏の社長再登板を説明する会見。にもかかわらず、そこに車谷氏の姿はなかった。

「東芝再生を成し遂げ、天命は果たした」。広報担当者が代読したコメントで辞任の理由が紹介されたが、辞任の経緯は実態とは程遠い。車谷氏が持ち込んだとされる、英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる買収計画は宙に浮き、有象無象のファンドが東芝を狙う。ある東芝社員は「これから再建というときに、3年前の混乱期に戻ってしまったようだ」と不安を漏らす。

事の経緯を振り返ろう。騒動が表面化したのは、4月6日にCVCから東芝に「提案書」が届いたときだった。そこには、東芝株を1株5000円で公開買い付けし非公開化、3年後に再上場を目指すとあった。

「あなたが描いたのか」

翌日の東芝取締役会は荒れた。提案書の中に「現在のマネジメント体制の維持」という文言が含まれていたからだ。CVCは車谷氏にとって17年から1年間、日本法人会長を務めた「古巣」であったことから、提案の仕掛け人は車谷氏ではないかと疑われた。永山氏からの「あなたが絵を描いたのではないか」との問いを車谷氏は頑強に否定した。