第一生命の稲垣精二社長は「新たな不祥事が出てくる可能性はゼロ、と言い切ることはできない」と語る(撮影:梅谷秀司)
金銭搾取事件の闇はどこまで深いのか――。
第一生命が2020年10月に公表した、山口県の元営業職員(89)による約19億5000万円の巨額詐欺事件。その後、和歌山県や福岡県、神奈川県のほか、北海道と長野県でも元営業職員らによる金銭搾取事件が相次いで明らかになった。
北海道のケースは、旭川支社の60代の元営業職員が契約者3人から654万円を、長野県のケースでは松本支社の70代の元営業職員が8人から合計4836万円をそれぞれだましとっている。2人の元営業職員はいずれも懲戒解雇となっているが、北海道は2012年から2018年まで、長野県のケースは2011年から2020年にかけてと、不正が長期間に及んでいることが特徴だ。
同社は現在、全契約者を対象とした伏在調査(他に同様の事案がないか調べること)に着手し、まずは出金を伴う手続きなど合計61万件を対象に調べた。北海道と長野県の2事案はこの調査によって発覚したもので、不正を働いた営業職員が所属している営業拠点は全国に広がっていることから、今後の調査次第では新たな不正事案が出てくる可能性もある。
営業職員による一連の不祥事に対して、同社の稲垣精二社長はどのように向き合っていくのか。営業職員チャネルの今後のあり方を含めて聞いた。

新しい不祥事の可能性はゼロとは言えない

――金銭不祥事に関する2020年12月末の記者会見で、稲垣社長は「今後も新たな不正が発覚するかもしれない」と言っていました。その後、2021年2月に北海道と長野で新たな不正が判明しました。

被害に遭った契約者の方々には本当に申し訳なく思っている。契約者貸し付けの利用者など、(これまでの不祥事案から考えて)リスクが高い層に対して個別通知や電話をする中で新たな事案が発覚した。今後は全契約者に対しての案内や確認作業を、2021年12月末の完了を目指して行っている。

残念ながら、「新たな不祥事案が出てくる可能性はゼロ」と力強く言い切ることはできない。ただ、過去の膿はすべて出しきる一方で、新たな不正事案を二度と発生させないという強い決意で経営陣、社員一同が気持ちを新たにしている。ゴールデンウィーク明けから始める経営陣と全社員とのタウンホールミーティング(対話集会)を通じて、その思いを共有化していきたい。

――今回発覚した北海道の事案は6年半、長野県の事案は9年間、山口県の巨額詐欺事件については18年もの長期にわたって不正が行われていました。なぜ、長期間にわたって不祥事が発覚しなかったのでしょうか。