安いニッポン 「価格」が示す停滞(中藤 玲 著/日経プレミアシリーズ/935円/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile]なかふじ・れい 日本経済新聞社 企業報道部記者。1987年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、米ポートランド州立大学留学。2010年愛媛新聞社入社。13年日本経済新聞社入社。食品、電機、自動車、通信業界やM&A、働き方などを担当。

『安いニッポン』というタイトルは、少し前ならキャッチーなものだったかもしれないが、今となってはうら寂しく感じられる。多くの国民が、世界の先進国と比べると自分たちは「下流」だ、ということに薄々気づいてしまっているからだ。

本書は、一昨年、日本経済新聞に掲載された「安いニッポン」シリーズをベースに、新たな取材から得た話などを盛り込み書籍化したものだ。連載時とくに反響が大きかったのは、「『年収1400万円は低所得』人材流出、高まるリスク」の記事だったという。

米住宅都市開発省がサンフランシスコで年収1400万円の4人家族を「低所得者」に分類した一方で、日本で最も平均所得の高い東京都港区でも平均年収は約1217万円。つまり日本の富裕層居住エリアとされる港区でも、平均所得はサンフランシスコの「低所得」並みなのである。