古くからIT・ネット企業の集積地として知られてきた渋谷(撮影:今井康一)

「100年に1度」といわれる大規模な再開発が進む渋谷。みるみる形を変えていくこの街を”本拠地”とするIT・インターネット企業群も、時代の要請に合わせた変化を模索している。

渋谷に本社を置くミクシィ、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー(DeNA)、GMOインターネットの4社は2018年、企業の垣根を超えてIT産業を盛り上げる取り組みとして「SHIBUYA BIT VALLEY(シブヤ・ビットバレー)プロジェクト」を立ち上げた。

起業家支援などの活動のほか、テクノロジーや経営をテーマにしたカンファレンスを毎年開催。参加者は2018年に約1000人(1日開催)、2019年は約2400人(2日間開催)、2020年は約1万人(オンラインで4日間開催)と、年々拡大している。今年もオンラインにて、数日間にわたるカンファレンスを行う予定だ。

「当初(2018年)のカンファレンスはエンジニアの参加を前提に技術系のセッションを組んでいたが、直近はそれ以外にも対象を広げている。テーマとしてもコロナ後の働き方などまで扱い、より広範な情報交換・ノウハウ共有の場にしている」。ビットバレープロジェクトの2021年の幹事社・ミクシィの村瀬龍馬CTO(最高技術責任者)はそう話す。

短命だった「初代・ビットバレー」

「ビットバレー」というフレーズが最初に登場したのは1990年代末。渋谷周辺のベンチャー経営者らが発表した起業家育成活動「ビットバレー構想」に端を発する。アメリカのIT企業集積地・シリコンバレーにあやかり、「渋い(bitter)」と「谷(valley)」を組み合わせた造語だ。

中心的な役割を果たしたのは、渋谷区・松濤にオフィスを構えていたネットエイジ(現ユナイテッド)の西川潔社長(当時)や、上記のような2000年前後に生まれた“渋谷企業”の経営者たちだった。ちなみに現・ビットバレーの幹事を務める4社では、GMOインターネットが最も古い1991年の設立。ネット事業に本格参入したのが1995年だった。その後サイバーエージェント(1998年設立)、DeNA(1999年設立)、ミクシィ(1999年設立)と続く。

まだネットや携帯電話も普及の途上にあり、「ネット企業とは何者なのか」という空気が漂っていた時代。ビットバレー構想には、同志で切磋琢磨しつつ束になって活動することで社会的信頼や認知を積み上げ、事業成長に必要な資金調達・人材採用などを加速する狙いもあった。実際、この後多くのネット企業が業容を拡大し株式上場も果たしていく。