(撮影:今井康一)

10年で「死の谷」を越えるか──。2011年10月の上場以来、10期連続で赤字となってきた創薬バイオベンチャーのシンバイオ製薬は、21年12月期に黒字転換する見通しを発表した。昨年末に300円台半ばだった株価は年初から上げ足を速め、3月には一時1713円の高値をつけた。

一般に、ベンチャー企業は事業を軌道に乗せるまでに経費が先行する苦しい時期、いわゆる「死の谷」を経なければならない。資金が尽きれば企業の死=倒産を迎える。中でも創薬バイオベンチャーは多額の研究開発費用と長期の治験期間が必要だ。黒字化までの「死の谷」はより深く厳しい。

シンバイオが上場初年度の11年12月期から直近の20年12月期までに計上した純損失の累計は267億円にも及ぶ。しかし今21年12月期の純益は11億円の黒字に転換する見通し。同社は中期経営計画を発表しており、翌22年12月期は同14億円、さらに23年12月期は同17億円と右肩上がりの利益拡大を見込む。

抗がん剤が適応拡大へ

これまでと何が変わったのか。ポイントは2つ。①自社販売、②抗がん剤トレアキシンの適応拡大である。