「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」 リベラル系学派の経済学者/マサチューセッツ大学 ジェラルド・A・エプシュタイン教授

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Gerald A. Epstein マサチューセッツ大学アマースト校経済学部教授・同大学の政治経済研究所(PERI)の共同所長。「経済の金融化(financialization)」の研究で著名。著書に『MMTは何が間違いなのか? 進歩主義的なマクロ経済政策の可能性』『アメリカ金融システムの転換』(共著)など。

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バイデン政権の経済政策は米国や世界の流れをどう変えるのか。米民主党左派と近いポストケインジアンの重鎮のジェラルド・エプシュタイン教授(米マサチューセッツ大学)に話を聞いた。

──「米国雇用計画」をどのように評価しますか。

非常にいい計画だと思う。化石燃料からの脱却を図るグリーンインフラや道路などの従来型インフラ、育児・教育、高齢者介護など人間のインフラへの投資や、人種・民族間の格差を減らす社会インフラへの投資も非常に評価できる。

8年間で総額2.3兆ドルという規模には、オカシオコルテス下院議員など民主党左派からは「足りない」との批判もある。しかし、民主党は上院でギリギリの過半数であり法案可決は容易ではない。よいスタートを切れるような現実的な計画を出してきたと思う。

──大型支出によるインフレが懸念されています。

3月に可決した「米国救済計画」(総額1.9兆ドル)の効果もあって失業率や設備稼働率は改善され、経済拡大が起こるだろう。結果、一時的な物価上昇は生じると思う。忘れてはならないのは、米国では過去10年間、低インフレこそが問題だったことだ。インフレの兆候が少し見えただけで慌てるのは軽率ではないか。

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