米マイクロソフトは医療業界向けのクラウドソリューションを急速に強化している

 

米マイクロソフトの勢いが止まらない。株式時価総額は2兆ドルの大台に迫り、10年前の10倍だ。そんな中、4月12日に過去2番目の大きさとなる企業買収を発表した。買収するのは音声認識技術を手がける米ニュアンス・コミュニケーションズで、金額は197億ドル(約2兆1500億円)。1992年創業で米アップルの音声アシスタント「Siri」の基盤技術を供給した老舗企業だ。

ナスダックに上場しており、2019年10月にマイクロソフトが提携を発表してから株価は3倍以上になった。提携でシナジーを確認したうえでの買収は適正といえる。マイクロソフトのM&Aとして過去最大だったビジネスSNSのリンクトイン(262億ドル)に次ぐ規模だ。今回、ニュアンスのマーク・ベンジャミンCEOはマイクロソフトのクラウド事業トップの直属の部下となる。

同社は昨年、中国の動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業の買収を検討したが断念した。最近ではコミュニケーションアプリ「ディスコード」の買収観測報道が出るなど、M&Aに対する積極姿勢が明らかだ。

DX戦略を考えるうえでマイクロソフトの動きから学べることは多い。毎年2桁成長を続けるクラウドプラットフォーム「アジュール」を核として、オセロの盤面を埋めるようにM&Aを進める。今回買収を決めたニュアンスのサービスは、世界で1万の医療機関と50万人以上の医師が利用しており、米国内の病院の利用率は77%に上る。診察時の会話を自動で文字起こししたり、マイクロソフトのビデオ会議ツール「チームズ」での遠隔診断にニュアンスの音声AI(人工知能)を搭載したりしている。