日本製鉄がこの3月に中長期経営計画を発表した。目玉は鹿島にある高炉の停止を含む国内製鉄事業の生産能力削減だ。これらによって約1万人の合理化を見込むが、配置転換等で吸収し希望退職募集は行わないそうだ。「雇用を守る」と経営陣は胸を張る。

1万人規模の人員減が希望退職の募集もなしに可能なのか、と一瞬疑問を持った。が、日鉄の前身である新日本製鉄が約30年前の鉄冷えの時代に行ったリストラを思い出し合点がいった。当時、「配置転換」の命を受けた従業員が退職を余儀なくされた、グループ会社や取引先が人材受け入れを求められたといった話を聞いた。

製鉄所は単に雇用者数が多いだけではない。祖父の代から業務に携わる者もいるほど地域社会と一体化している。地域に根付いているが故に、今回も転勤できずに自己都合退職を選択せざるをえない従業員がそうとうにいるだろう。