英オックスフォード大学教授 苅谷剛彦(かりや・たけひこ)1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

4月中旬、日本の新型コロナウイルス新規感染者数が英国のそれを上回った。英国では1月上旬に7日間平均で6万人近くにまで拡大したが、4月中旬には2200人台にまで減少した。同時期の日本は約3500人で増加傾向にある。トレンドで見れば見事な逆転である。

英国の場合、1月上旬に始まった3度目の都市封鎖が3カ月以上に及んだことの効果であるのは否めない。だが同時に、英国政府はワクチン接種を急速かつ大規模に進めた。店舗の閉鎖や人との接触の回避という消極策から、ワクチンを手に積極攻勢に出たのだ。両者を組み合わせた政策が3カ月近くで劇的な変化を生み出した。その結果、屋外に限っての飲食店の営業が4月中旬に再開。感染者数が持続的に抑えられれば、5月17日からは室内営業やそのほかの娯楽施設の再開も可能となる。さらに6月21日には規制を撤廃し通常の生活に戻ることが想定されている(その後の感染状況の推移を見てという条件付きではあるが)。

これまでとの違いは、すでに国民の半数が3月末までに最低1度のワクチン接種を終えたことにある。この施策の成果を基に、具体的な緩和策を示して国民に目標を与えることに成功している。