壮大な人類の物語
進化のカギは「虚構」

過去の刊行物も含めたあらゆる教養書の中で、堂々トップの座に輝いたのは『サピエンス全史』だ。世界で1600万部を超える大ベストセラー。国内では2016年9月の刊行以来、紙版と電子版を合わせた上下巻の累計部数は約110万部に達する。

うち紙版は約90万部で、上巻約50万部、下巻約40万部の売れ行き。通常、上下巻ものは売れないという出版業界のジンクスを軽々と破り、600ページ弱の大部を下巻まで読み切る読者が実に多かったことがうかがえる。世界でも、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグ、バラク・オバマなど著名人が絶賛する、本書の評価の高さはお墨付きだ。

ホモ・サピエンスが食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いたのはなぜか──。壮大な人類の物語において、答えのカギを握るのは「虚構」であると説く。これこそ『サピエンス全史』の中心となるテーマだ。

著者のユヴァル・ノア・ハラリはイスラエルの歴史学者。国家や企業、法律、貨幣、さらには人権や平等といった考えまでも、集団で信じている虚構(共同主観的現実)であることを明らかにする。

物語の始まりは、7万年前から3万年前にかけて起きた認知革命。これによって、ホモ・サピエンスは言語を操る能力を手に入れた。人類は虚構としての神話を紡ぎ、それを信じることが可能となった。これにより自らの行動を変化させ、大規模な集団で協力する能力を手に入れたという。