東部ピッツバーグで計画を発表したバイデン大統領。インフラ投資には格差を是正する狙いもある(AP/アフロ)

バイデン政権は3月31日、2兆ドルを超えるインフラ投資計画を発表した。電力網の刷新や電気自動車向け充電ステーションの拡充、対中国を意識したサプライチェーン(供給網)の強化などに加え、敷設済みの高速道路を取り壊すという異色の提案も盛り込まれた。背景には、高速道路の整備が人種間の格差を助長した米国の歴史への反省がある。

米国の高速道路には、人種差別の時代の遺産としての性格がある。例えば都市部での高速道路の建設では、黒人などの貧しいコミュニティーが狙い撃ちにされた。オバマ政権で運輸長官を務めたフォックス氏によれば、1950~60年代に高速道路の建設で立ち退きを迫られた世帯のうち、4分の3が黒人を中心とした貧困層だった。

高速道路の完成により、白人を中心とした中間層は、郊外の庭付き住宅から車で通勤する生活を手に入れた。しかし、その裏側では、建設地となった都市部の黒人やヒスパニックのコミュニティーが、多大な犠牲を強いられていた。立ち退きを免れた場合ですら、建設地周辺のコミュニティーは、成長の機会を奪われた。高速道路の完成により、コミュニティーからの人や車の往来は難しくなり、経済活動が妨げられた。