トヨタ自動車も頼った自動運転開発のスタートアップは、鴻海精密工業のEV展開でも極めて重要な役割を担っている。創業者に今後の展開を聞いた。
台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)が立ち上げたEV(電気自動車)開発プラットフォーム「MIH」に参画する日本企業が続々と増加している(詳細は「日本企業が「鴻海のEV」に抱く当然の期待」)。その中でも、MIHにおけるソフトウェアのワーキンググループ座長という重要な役割を務める日本企業がある。自動運転ソフトを開発するスタートアップのティアフォーだ。
2015年12月に設立された名古屋大学発のベンチャーで、同社が手がける自動運転用OS(基本ソフト)の「オートウェア」は国内外で200社以上が利用する。オートウェアは30Wほどの小さな消費電力で動き、そのシステムは汎用部品で構成される。
自動運転用OSの使用社数では世界一を誇り、他社のOSとは違ってオープンソースで無償公開しているのが大きな特徴だ。トヨタ自動車が開発する自動運転車「イーパレット」の東京五輪向け車両に採用されたことで業界での注目度が俄然高まった。
ティアフォーがMIHに参画したのは2020年9月。どのような経緯でホンハイと関係を深めてきたのか。同社の創業者でCTO(最高技術責任者)を務める加藤真平氏を直撃した。
――ホンハイが主導して立ち上げたEVのプラットフォーム「MIH」に参画することになったきっかけは何だったのですか?
2020年1月、ホンハイの劉揚偉・董事長(会長に相当)に本社(台北近郊の新北市)に招かれたのがきっかけだ。その時点ですでに、ホンハイにEVのオープンプラットフォーム構想があり、自動運転用のソフトウェアを探しているようだった。
最初の接点はホンハイの深圳工場の案件だ。ティアフォーはヤマハ発動機と工場敷地内の自動搬送などで提携しており、2019年にホンハイからも(自動搬送について)相談を受けた。深圳工場の建屋と建屋の距離が遠いので一般的なAGV(無人搬送車)では対応できないとのことだった。
そうした経緯もあり、われわれの自動運転ソフトが劉会長の耳に入ったのだと思う。
――劉会長との面談で加藤さんには手ごたえが?
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