保険の募集人資格を失った局員向けに使っている研修用DVD。その中身とは……(記者撮影)

「この通りに営業活動をすれば、また社内処分を受けるのではないか」「法令違反になるのでは……」――。複数の郵便局員から不安の声があがっている研修用資料がある。日本郵便が使っている保険営業に関する社内研修用のDVDだ。

これは、かんぽの不適正募集が発覚した後、募集人資格を取り上げられた局員向けの研修用資料として2019年9月下旬から導入された。作成したのは日本郵便に生保商品の販売を委託しているかんぽ生命だ。

DVD研修を受けた局員は、レポートを提出しなければ次の研修に進めない(DVDの使用期間は2019年9月27日~2022年3月31日)。東洋経済ではこの研修用DVDの映像を確認した。

映像は「はじめに」「守り続けるもの」「私とかんぽ」という3部構成で計25分間強。局員たちが冒頭のように不安視しているのは、「私とかんぽ」の部分だ。

学資保険の「メリット」を強調

たとえば、小学校6年生の「彼女」が交通事故で足を骨折し、1カ月入院するシーン。「学資保険と特約に加入していたおかげで、ケガの治療費はそれでまかなうことができます」というナレーションが流れる。

ある中堅局員は、「(保険の契約時から)入院までに支払ってきた保険料に対する費用対効果と各自治体における医療費補助の制度とを照らし合わせると、現在、入院特約加入の必要性は非現実的」と指摘する。

学資保険をすすめることへの疑問もある。「超低金利の下で各社の学資保険が元本割れしており、(かんぽの学資保険は)どこの会社の商品よりも『掛けオーバー』の金額が大きいからだ」(ベテラン局員)。「元本割れ」「掛けオーバー」とは、支払った掛け金の総額が、受け取る満期保険金額よりも大きいことを指す。

日本生命出身で保険営業の弊害に詳しい「保険相談室」の後田亨代表は、「元本割れが確実な学資保険を勧めることに罪悪感はないのだろうか」と苦言を呈する。

DVDにはほかにも疑問点がいくつもある。

現場のことを知らないシーン

入院日数の短期化が進んでいる中、足の骨折で1カ月間入院するという設定や、小学生の医療費が自治体の補助で無料になって久しい中、ケガの治療費は特約で賄えるとナレーションし、母親が「保険に加入していてよかった」と話すところだ。