(Fast&Slow/PIXTA)

「『ワンルームがそうとう余っている』と社内会議で話題になった」。東京都心部を中心に賃貸仲介を手がけるスタートライングループの城田章・常務取締役は話す。

賃貸住宅業界にとって、毎年1~3月は入社や進学を見据え入退去が活発になる繁忙期だ。同社が拠点を構える東京都中央区では、例年であれば3月までに入居できる物件は取り合いになるという。

だが、今年は少々様相が異なる。「需要を牽引していた転勤の動きが鈍く、現在でもワンルームや1Kは選び放題だ」(城田常務)。

都心の人口増にブレーキ

アパート・マンション投資に当たって欠かせないのが入居者の確保。投資用として最もメジャーなのは、単身者向けの10~20平方メートル台のワンルームや1Kタイプだ。ファミリー向けの広い住戸に比べて幅広い入居者層から引き合いがある。都心部の需給はこの数年逼迫し、退去通知を受領してから実際の退去発生までの間に次の入居者が決まることは珍しくなかった。

だが、新型コロナウイルス禍で人の移動が制限され、都市部への人口流入が細ったことで賃貸需要にも変化が出ている。

総務省の統計を基に2020年の自治体ごとの転出入の増減をまとめたのが下の地図だ。賃貸需要の高い東京23区は、コロナ禍が本格化した昨春は転出超過となった。通年では転入超過に転じた区も多いが、増加ペースはほとんどが鈍化。21年に入ってからも、東京都全体では転出超過の傾向が続く。