都内に住む不動産投資家の村野博基さんは2019年、43歳で「セミリタイア」した。大手通信会社を退職し、保有するマンションの家賃収入で生活していくことを決めたのだ。

保有物件は都内のワンルームマンションを中心に29戸。家賃からローン返済や管理費などを差し引いた手取り収入は年間約900万円。給与収入がなくても十分生活が成り立つ。「会社に縛られず、自分の好きなことをしていきたい」。村野さんは声を弾ませる。 

新型コロナウイルス禍で、不動産投資にいっそう注目が集まっている。都内で区分マンションの売買を手がけるランドネットの榮章博社長は、「将来不安の高まりから、資産運用として不動産投資を始める人が増えている」と話す。同社は今年2月、区分マンションの契約高が過去最高を記録した。

家計の「カネ余り」も一因だ。金融広報中央委員会の2020年8~9月の調査によれば、家計の金融資産保有額(2人以上世帯)は平均1436万円、中央値で650万円。コロナ禍で訪問調査を取りやめたため単純比較はできないが、19年調査での中央値419万円から1.5倍も増加した。運用難で、資金は不動産へと流れ込む。

投資家の鼻息は荒い。不動産情報サイト「健美家(けんびや)」が会員向けに実施した調査によれば、約6割の投資家が「物件を探している」と回答した。株式や債券と比較して相対的に利回りが高い)ことも投資家を引きつける。