もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

IMF(国際通貨基金)は先日、米バイデン政権の大規模財政支出の影響を主な理由として、今年の米国の成長率予想を5.1%から6.4%へ大幅に引き上げた。同時に対GDP(国内総生産)比の需給ギャップの想定もマイナス(需要不足)から一気に0.6%のプラス(需要超過)へと見直した。

米国の10年物の物価連動債の価格から算出される期待インフレ率(BEI)は、この3月に約2.4%まで上昇した。2月にサマーズ元財務長官は過剰な財政刺激がインフレを招くと警鐘を鳴らしたが、市場はそうしたシナリオを本格的に織り込みつつあるのだろうか。

現時点で、その答えはまだノーである。確かに10年物のBEIは、トランプ減税で好況に沸いていた2018年の水準をすでに0.2ポイント上回っている。